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「親を安心させたい」「みじめに見られたくない」「子どもがいない人生が不安」「ひとりで死にたくない」
そこに、「誰かと愛し合いたい」「一緒に人生を楽しみたい」という言葉は、なかった。
「私、誰のために婚活してたんだろうって……愕然としました」
親の言葉、友達の無意識のマウンティング、社会の“普通”という名の期待。それらに応えるために、私は自分の人生を使っていた。
それに気づいたとき、「もう無理はしたくない」と思えた。
転機は、ある週末に立ち寄ったブックカフェ。雑誌の特集で、「結婚しない人生もある」という特集が組まれていた。
そこに登場していた女性たちは、ひとりで暮らし、仕事を楽しみ、趣味に打ち込み、日々を慈しんでいた。彼女たちの言葉が、心の奥に静かに染みた。
「誰かと生きることがすべてじゃない。自分の人生に、自分でOKを出せることのほうがずっと大事」
その日から、京子さんは少しずつ、自分を取り戻すようになった。
長く手をつけていなかったカメラを引っ張り出し、近所の公園や美術館をめぐった。人の目や出会いの期待を手放して歩く日々は、10年ぶりに呼吸が楽になる感覚だった。
「婚活してた頃は、どこか“この人と結婚できるかどうか”でしか人を見ていなかった。でも、今は人と関わるだけでも楽しい。損得なしの関係を持てるって、すごく健全だなって思えるようになりました」
そんな日々の中、趣味を通じて知り合った年下の男性と、連絡を取り合うようになる。彼は特別イケメンでもハイスペックでもないけれど、一緒にいるときの自分が素直でいられる。
「まだ“恋人”とは言えない関係ですが、今の私にはちょうどいいんです。自分を飾らず、構えず、自然体でいられる相手。結婚じゃなくて、信頼の土台がある関係を築けたらいいなと思っています」
危機管理コンサルタント・平塚俊樹氏は、こう指摘する。
「婚活という“制度”が人間を傷つけることもあります。特に日本では、“結婚して一人前”という固定観念が女性に強くのしかかっている。婚活に苦しむ人は、まず“誰のためにそれをしているのか”を見つめ直すことが大切です」
10年かけて婚活をした結果、京子さんがようやく手にしたもの。それは、誰かに選ばれることより、自分が自分を選ぶという感覚だった。
結婚も、恋愛も、「可能性のひとつ」であって義務じゃない。
「もし今、誰かと生きるとしたら、それは“助け合えるから”じゃなく、“一緒にいることが心地よいから”という理由だけでいい気がします」
焦らず、媚びず、自分を偽らず。
そんな日々の先にこそ、ほんとうの「出会い」はあるのかもしれない。

